■こうち県議会だより 第59号(H25.12.8発行) [PDFファイル版/4.25MB]
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移住政策について
(1-1 昭和35年区分による集落でみた現在の姿の公表について)
(1-2 市町村ごとの移住者数目標)
(1-3 集落の活性化について)
(1-4 集落の文化や取り組みの1元化)
(1-5 高知家の古民家活用について)
知の拠点永国寺キャンパスについて
(2-1 知の拠点永国寺キャンパスへの決意)
(2-2 地域協働学部への期待について)
(2-3 ワンストップ窓口で集落ビジネスを支援)
(2-4 支援策が具体的にわかる広報へ)
南海地震対策について
(3-1 避難所外の避難者が、どこに避難するかについて)
(3-2 総合防災情報システムに関わる専任職員の設置について)
早速質問をさせて頂きます。
さて高知県は、6月4日に新しいコンセプトコピーとして、「高知県は、ひとつの大家族やき。高知家」を打ち出しました。発表と同時に作られた高知家ピンバッジですが、十分な量として発注した2千個だと思いますが、あっという間になくなったとお聞きしました。県庁の皆様方でさえ予想ができないくらいの大反響となったのだと思います。
私自身も、素晴らしいコピーだと思う一人ですが、なぜこんなにも共感が広がったのか?私になりに考えたことをお話しして、そののち質問に移っていきたいと思います。
高知家のHPを開くと、まず最初に、本県出身の女優、広末涼子さんの「おかえり」という音声。そして画面には、四万十川と沈下橋。カツオにゆずに、お遍路さんという、明るいトップ画面が出てきます。
トップページは、HPの評価を決める重要な要素ですが、大反響のこの高知家のトップページ。何がすぐれているのか?
私は、「おかえり」という言葉こそが、共感の源になっているのではと思います。
おかえりという言葉は、「あなたは、私の家族です」という意味と同時に「あなたはかけがえのない、大切な人ですよ」という承認の言葉でもあり、人と人との繋がり、絆の最上級の言葉として、ある意味、現代に生きる人々が最も渇望する言葉のように思えます。
大家族から核家族へ、という家族の解体。人と人との関係性の希薄化。極端な例では、誰にも知られることなくひっそりと息を引き取る孤独死。そして、自分を大切なものとして考えることのできない自尊感情の低下。ひきこもりの問題。さらに進むと、社会との関わりに対する絶望からの自殺など、集団よりも自由がいいという考え方が、行き過ぎてしまったことの弊害を感じます。
さて、なぜ大きな助け合いのシステムであったはずの集団を解体し、個人へという流れが行き過ぎてしまったのでしょうか?私なりに考えてみますと、それは、この流れが、マーケットの拡大を生み出し、日本の高度成長を支えたということが理由ではないかと思います。例えば、大家族であれば、家は1つで済みます。しかし家族が親世帯・子世帯と2つに分かれれば、家が1軒ずつ必要で、需要が2倍になります。大きな助け合いのシステムで、例えば田んぼを地域の人たちで管理するというのではなく、各農家それぞれが、機械を持つことになれば、やはり需要が増えます。
集団から個へ。人に干渉されたくない、自分で全てを決めたいという想いは、個人向けのマーケットを拡大して、経済成長とモノであふれる豊かさをもたらせました。
しかしここ近年、経済的な豊かさの追求だけが、幸せを得ることではないという考え方が広がってきております。例えば、ブータン王国のGNH国民総幸福量が刺激となった、東京都荒川区の荒川区民総幸福度(GAH)という、取り組み。経済学の世界では、ノーベル経済学賞受賞者のスティグリッツが「暮らしの質を測る―経済成長率を超える幸福度指標の提案」という本を出版。
そして高知県でも、土佐経済同友会が2011年3月に、「日本一の幸福実感県・高知」という提言を発表し、高知県民総幸福度に関するアンケートを実施しました。直近の事例では、先月9月22日には、RKC高知放送が60周年の記念シンポジウム「~幸福度NO.1へ!!高知を世界一の”幸せ”実感県に~」というテレビ番組を収録しました。
こういった経済成長への疑問から生まれた幸福に関する調査研究、取り組みは、高知だけでなく世界の潮流といえそうですし、東日本の大地震から生まれた人と人とのつながり、絆、家族というものをもう一度再構築しなければならないという想いと相まって、高知家という言葉に、別の意味づけ、新たな意味づけが生まれてきたことを感じます。
高知家コンセプトを、県庁の皆さんが考えた時には、例えば香川のうどん県PR戦術にも負けない、ちょっと気の利いたフレーズができたという認識であったかもしれません。確かに、他県との差別化が生まれ、県内観光や地産外商にも大きな効果を与えると思います。
しかし高知家ピンバッジが、わずか4か月足らずで3万個出たということを聞くにつけ、この高知家という言葉の存在感は、高知県民にとって、また人と人との繋がりを求める現代日本人にとって、大きな期待を集める課題解決の羅針盤となったことを思わせます。
高知家という言葉には、歪んだ経済成長により失った大切なものを取り戻すための、シンボル的な言葉として、この高知に打ち立てられました。
私は、高知県政において、この高知家を課題解決の羅針盤として活用し、新しい理想を持った人材を呼び込んで、これまでの経済成長とは違う考え方でのライフスタイルを生み出し、多くの県民、多くの高知県ファン、そして移住者への期待に応えるべく、県勢を発展させていって欲しいと思います。
前置きが長くなりました。ここから質問に入りたいと思います。
(1-1 昭和35年区分による集落でみた現在の姿の公表について)
まず最初に高知家コンセプトの大きな柱である、移住政策からお聞きをいたします。
高知県は、幸せ移住パッケージシステムを稼働して、高知県内への移住を考えている人に、仕事や趣味に関わる土地を組み合わせて、移住先を探してもらう取組を始めました。この仕組みは非常に先進的で期待しております。
これまでの行政の移住者支援は、市町村という単位で、私の市町村に住んでみませんか?というアピールの仕方であったと思いますが、移住者にとっては、市町村という単位にはあまりこだわりがなく、趣味や、自分の生き方にあった暮らしができるかどうかが重要です。この検索システムはそういった移住者の希望に沿った施策という意味で先進的です。
私の知る範囲で移住を成功させた人を考えると、知人に高知に移住した憧れの生き方をしている人がいて、自分も高知に移住すると決意します。そして、その知人の住んでいる集落で空き家を探し、その後、周辺の集落を探すというようにして、住む場所を決めている方が多いように思います。
そこで私は、これからの移住政策は、集落という単位で政策を考えることが有効だと考えます。田舎暮らしを理想として移住を考えている人は、移住候補集落から小中学校までどのくらいの距離があるのか。病院やスーパーはどこが近いかなどの情報を求めています。
さて、そもそも集落とはどういったものでしょうか?高知県の定義を知るために、平成8年度まで発行されていた高知県の集落という冊子の冒頭を引用します。
そこには「この資料でいう集落とは、調査の性格上、昭和35年に農業センサスの調査区をもとに、市町村の実情に応じて、県で独自に整理したものを継承しています」と書かれています。集落とは、農業を中心としたまとまりであることが分かります。
この区分は、平成23年度に行われた県内2,537の詳細な集落調査でも受け継がれています。
ただ平成23年度調査資料には、集落のそれぞれの人口の記述がありませんし、昭和35年区分の集落の数から大きく集落の数が減っております。
私の住む香美市で言えば、旧土佐山田町は73 香北町41 物部村40で、集落を区分しておりまして、計154の集落が存在しました。
しかし平成23年度資料では、旧土佐山田町4つ減って69 香北町7つ減って34 物部村6つ減って34となり、計137の集落と、全体で17減となっております。
高知県は、昭和35年区分での集落の人口データを、平成8年版を最後に、公表しておりませんが、今こそ集落の盛衰の分かるこのデータを活用すべきではないかと思います。
この昭和35年区分の集落は、行政上の区画の異動や名称変更、また団地の造成などで新たな区分が生まれたりと、現在においては連続性を持たせることは大変なことは分かっています。
しかし、受け継がれてきた地域の伝統や文化の継承。そして高知家コンセプトに基づいたコミュニティ維持という意味では、この区分は非常に意義ある区分であると思います。
そこで昭和35年区分の集落の人口調査を、平成7年までの8回と、平成22年までの3回を合わせて、HP上に公表し、集落に関する政策の基礎データを県民と共有していくお考えはないか、総務部長にお聞きをいたします。
(1-2 市町村ごとの移住者数目標)
次に、集落ごとの人口を基にした統計の活用方法と、移住者の目標数値について質問いたします。今年3月議会の予算委員会でも紹介しましたが、徳島県神山町では、人口推計に基づいたまちづくりを実践しております。教えて頂いた表現で「創造的に過疎化させる」という言葉がありました。創造は作り出す創造で、過疎化は進んでいくが、こういう未来にしたいというイメージに向けて、今を逆算して行動するという考え方です。
具体的には、町の0才から14才の年少人口の数に着目して、2010年時点で433人の年少人口を、25年後の2035年には300人で維持したいと目標を定めました。この300人という数字の根拠は、1学年20人は欲しいということで、20人×15才で300人と決めたそうです。
何も移住対策をしなければ、2035年は、188人で1学年12.5人という年少人口推計に対して、毎年どれくらいの移住者目標を立てれば、300人に増やせるのか。結果、2人の子供を育てている子育て世代を、毎年5組呼び込めば良いという数字が出てきたそうです。
ちなみに、神山町の現在の人口は、25年9月現在で、6,155人、2,589世帯。過疎が進んだ町ですが、数値目標の成果もあって、毎年5組という目標を実現しているそうです。
香美市でいえば、人口4,911人の旧香北町の人口と近く、香北町の34集落に、子育て世帯を何組呼べばよいか。今ある大宮小学校と香北中学校で1学年20人を維持できるのか?こういった考え方で、移住者の目標を立てることは可能ではないかと思う所です。
高知県では、移住者の目標数値を、平成27年度に500組としておりますが、0才から14才までの年少人口と、小学校区ごとの集落の人口を意識しながら、例えば市町村ごとの移住者数の目標が作れないか。産業振興推進部長にお聞きをいたします。
(1-3 集落の活性化について)
また、次に集落という単位でみた地域活性化についてお聞きします。
年々高齢化が進む中山間地域の集落を活性化するためには、地域外の人々との交流を進めることが大切だと考えますが、市町村内での交流には限界があり、この動きを県が広域的に広げていくことが必要と考えますし、将来的には、移住の促進や災害時の応援の取り組みにつながることも期待できます。
そこで県では、本年度から「結プロジェクト推進事業」により民間との協働による地域の活性化に向けた仕組み作りに取り組んでいますが、現時点での実施状況、また、今後の方向性について中山間対策・運輸担当理事にお聞きします。
(1-4 集落の文化や取り組みの1元化)
次に、集落を文化的価値から見ていくという趣旨で質問を続けます。
以下私の言葉での定義ですが、先ほどの集落が集まったまとまりとして、地域という言葉を使います。ちなみにこの地域は、明治初期の村とイコールになることが多いようです。
高知県は、中山間地域対策課が中心となり、地域の課題やニーズに応じて、生活、福祉、産業、防災といった様々な活動に総合的に取り組む「集落活動センター」の取り組みを支援しております。私は、この集落活動センターの、立ち上がりが早かったのは、旧小学校を拠点とした集落であるように感じます。
その理由を考えた時に、1つは地域の複数ある集落の中でも拠点として、そもそも人口が多く、人材がいたこと。そしてもう1つは、目には見えない文化的な力ではないかと思います。
集落の文化的な力というのは、私自身、感覚的なことでしか表現できないのですが、そこに住む人が、集落の歴史を学び、先人を誇りに思い、集落を担う人材が自然と育くまれ、歴史的にも古くから人が住んでいる地域だと考えています。
高知県は、平成23年度の集落調査など、県内の集落を現在2,537か所として、施策を立案している所ですが、その中でも、文化的側面から、集落の評価を行って、中核集落を作り、その土地に住む住民への移住政策への意識向上、また移住者への魅力発信などの取り組みができないかと思います。
集落に序列をつけるようで気が引ける面もあるのですが、例えば文化的な価値の高い歴史や建造物がある集落などをピックアップして、集落の活性化につながる施策が作れないかと思います。
実際に集落を文化的価値で見直すという取組は、山内資料館が今年3月に「地域記録集 土佐の村々」という冊子を発刊し、スタートさせました。
ちなみに取り上げた集落は、大豊町立川集落で、番所があり、交通の要衝という歴史があり、かつて小中学校があった集落です。
この記録集が契機となって、地域を担う人材がUターンしてきたり、大学などがフィールドとして調査に入ったり、地域を担う移住者が移住してくるようなことが起こるかもしれません。
県内市町村では、市町村史を作る取り組みが、市町村合併がひと段落した今、活発化しておりますが、集落の歴史や文化、そして過去の地域づくりの取り組み事例や、大学の研究成果なども合わせて、一元化して管理できる仕組みがあれば、新たに地域を担う若者や大学の研究者・学生。また県の地域支援企画員にとっても、非常に有益な情報源になると思います。
そこで、県内2,537集落から文化的な歴史のある集落を選定し、歴史民俗資料館や山内資料館がこれまで調査し文書化したもの。また例えば、県内外大学生などの調査報告書や新聞記事などを市町村が中心となって1元的に管理し、HPなどで情報提供できるように県として何らかの支援ができないか。また移住対策としては、県外移住者に、この土地の文化を担う人材として、移住しませんかとアピールするような仕組みが作れないか。文化生活部長にお聞きをいたします。
(1-5 高知家の古民家活用について)
次に、高知家の家ということで質問させて頂きます。
高知県は、ひとつの大家族やき。高知家。というキャッチフレーズから私が連想したことは、高知家的な家の作りは、どういったものだろうかということでした。
少しだけ現代の住宅と、いわゆる古民家と言われる伝統建築の住宅の違いについてお話しします。現代の住宅は、アルミサッシや断熱材などで気密性を高め、外気と内部を遮断して、エアコンなどの空調を用いて年間の温度差を少なくし、快適に過ごせるように工夫がされています。
一方で、古民家は、高温多湿の日本の気候風土に合わせ、床下の通風、長い庇を持つ屋根、襖や障子などの開放性の高い間取りで夏を快適に過ごすことを重視した考え方となっています。しかしエアコンなど電化製品のない時代の優れた工夫ではありますが、冬は寒く、夏の日差しを防ぐ長い庇により室内は暗いことによって、古民家は敬遠され、どんどん取り壊されている現状があります。
しかし、私が考える人と人との繋がりを大事にする高知家的な発想でいえば、古民家からは学ぶべきことが多く、その象徴として例えば古民家には、縁側と客間というものがあります。
縁側は、庭などの外部から気軽に家に上がれる造りとなっております。今でも高知の中山間の家々にはこの縁側があって、近所の方などが気軽に縁側に座って、世間話をしながらお茶を飲む風景があります。また高知の酒文化の象徴であるおきゃくと言われる宴席も、床の間のある客間で行われています。
現在の住宅では、お客さんを招き入れる客間は絶滅する傾向にあり、今どき、個人の住宅でおきゃくをするのは稀ですし、法事などでも料理屋さんなどを使うことが多いように感じます。
家の間取りも、プライバシー重視のカギがかかる個人の部屋。テレビを中心とした家族が向かい合わないリビング。もしかしたら、玄関から自分の部屋へと、会話がなくても過ごせてしまう、個人の自由を大切にする住宅です。
一方で、古民家は先ほども述べましたが、縁側や土間の勝手口など、ご近所が気軽に訪ねられる家の構造。プライバシーの配慮は難しいが、用途に応じて限られた空間を、有効活用することのできる襖や障子。そしてなにより囲炉裏など家族が向かい合う食卓。ご近所も含めた大家族の住宅です。
江戸時代の暮らしに戻れとは言いませんが、昔の日本人。もしくは土佐の伝統的な生活を見直すことで、今の我々の生活に生かしていくという視点を、持つ時期に来たのではと思う所です。
また高知の伝統文化の維持・継承のためには、地域外の方々の発想も生かしながら、地域観光の休憩所としての利用方法を考えたり、古民家を今風に改修した移住者の事例を、HPで紹介して、移住促進の取り組みににつなげたり、また古民家の小さな改修コンテストなど、古民家の維持につながる活用方法を生み出せないかと思う所です。
そこで、魅力ある土佐の風景と土佐文化の継承のためには、古民家の保存も重要な視点ではないかと思いますが、古民家などの保存のための施策として文化庁が登録している登録有形文化財の建造物について、その県内での登録状況と活用状況について、教育長にお聞きをいたします。
(2-1 知の拠点永国寺キャンパスへの決意)
次に、永国寺キャンパスについてお聞きをいたします。
私は、この永国寺キャンパス整備に対しまして、非常に思い入れを持っておりまして、これまで本会議で2回予算委員会で1回と、毎回毎回質問をさせて頂いております。
なぜこんなにこだわるかと言えば、永国寺キャンパスこそが、尾崎県政の政策を加速させるエンジンと、未来の高知県を生み出す、希望であると考えているからです。
この場でも何回か言っておりますが、改めて尾崎県政の3つの優れた点を挙げたいと思います。1点目は、産業振興に対して、重点分野を絞ったこと。2点目は、産業間の連携に意欲的に取り組んだこと。3点目は、多くの県民に参加を促したことです。
高知県にこれまであったプロジェクトが、うまく行かなかった事例を私なりに考えた時に、土佐のいごっそうという言葉がありますが、みんなおらがおらがで、自分の意見を主張して、他の意見に耳を貸さず、結果として横の連携と情報共有が進まずに、当事者以外は無関心ということで、すぐに壁にぶち当たったからだと私は分析しています。
尾崎県政においては、産業振興計画フォローアップ委員会などを通じて、色々な産業の意見を粘り強く聞いて、合意と連携を進め、県民に広く広報すると同時に、プレイヤーとなって参画してもらうべく、色々な補助制度を作りました。
このことによって、産と官と民が協力して、高知県の産業を活性化させるということに取り組む土台ができてきたと感じております。
そして、この産業振興計画を次のステージにバージョンアップさせるには、人材育成、知財の技術移転、集落再生の3つを担う学の力が何としても必要です。
さて、これまでのご答弁で、永国寺キャンパスは、社会貢献する知の拠点として、大学間連携のもと、産学官連携や地域連携のためのセンターを設置し、県の研究機関や産業振興センターとも連携しながら、県内企業との情報交換や交流、技術開発、共同研究や受託研究の推進。合わせて地域再生や地域づくりに関する研究、情報交流などの地域連携の取り組みを行うということでした。
知事からは、高知大学、県立大学、工科大学それぞれの大学についての期待をご答弁頂いておりましたので、当然この3大学が密に連携を取りながら永国寺キャンパス整備が進むものと認識しておりました。
こうした中、平成25年6月高知県議会定例会の危機管理文化厚生委員会で永国寺キャンパスの建物配置図が配布されましたが、大学間連携のもと、産学官連携や地域連携のためのセンターとして、非常に期待される南舎部分は、1階地域開放教室。2階講義室。3階県大地域教育研究センター。4階工科大地域連携機構とあります。
現時点では各大学と協議中とは思いますが、まず第1に、県の研究機関や産業振興センター等も含めて、ワンストップ窓口となる機能はどこに入るのか。第2に、高知大学を含めた各大学がどう連携するのかなど、今後の課題があると思います。
知事は、2期目の公約として、共通の窓口を作るということに、並々ならぬ御決意を持たれていたように記憶をしておりますし、副知事からも、産学官民各部門がいかに緊密に連携をしていって、県民の皆様方、各企業の皆様方の要望に応えていくための体制が必要。また県民の皆様方、各民間企業の皆様方がご相談に来られる開放的で環境にも配慮した施設にしたいとご答弁されています。
ぜひ知事には、3大学の横の連携と情報共有を進め、永国寺キャンパスを、県勢をさらに発展させる連携と県民参加を促す知の拠点としていただきたいと考えますが、改めて、知の拠点に対する知事の御決意をお伺いいたします。
(2-2 地域協働学部への期待について)
次に永国寺キャンパスの地域連携のセンター機能とも深く関わりがあると考える、高知大学の地域協働学部についてお聞きします。高知大学は文部科学省の平成25年度「知の拠点整備事業」の採択が決まり、地域を志向した教育・研究・社会貢献を進める大学として、国からもお墨付きを得ました。
また、大学内部の大変な議論を経て、学部の再編と、地域協働学部の設置を決定し、大学派遣地域コーディネーターを高知県内7か所に配置して、中山間対策や企業との共同研究など、大学の地域貢献を一層強める準備を進めています。
この学部再編と、新学部の設置は、高知県の産業振興計画を意識して作られた構想であり、県の人口減少による地域経済の縮みに対する危機感と同じように、高校生の減少による全国の大学再編への危機感を背景にして、高知大学は高知県と一蓮托生であるという強い決意を感じます。
高知県の産業振興を進める上で、高知大学の地域協働学部に期待することと、高知県として、地域に派遣される高知大学派遣地域コーディネーターへの協力体制について、知事にお聞きをいたします。
(2-3 ワンストップ窓口で集落ビジネスを支援)
次に、ワンストップ窓口についてお聞きをいたします。
永国寺キャンパスのワンストップ窓口というのは、県民が産業振興計画にこれまで以上に関わるために不可欠なものであると思っております。
その理由は、永国寺キャンパスの稼働によって、これまでのビジネス支援とは違った層を県民運動に加えることができるからです。
その層とは、代々家族経営で事業をやっている企業群や、法人になっていない個人事業主。そして地域活性化グループやNPOをイメージしておりまして、これまで大学との連携とは、縁の薄かったグループです。
特に、地域活性化グループは、集落の人口維持を支援するビジネスが多く、以下集落ビジネスと名付けたいと思いますが、非常に大切な主体ですので具体例で説明します。
例えば、香美市香南市にまたがる塩の道保存会という組織があります。
塩の道保存会は、ユズマーマレードの商品開発や、トレイルランニングというような観光イベントも生み出しており、利益を追求する企業ではありませんが、地域になくてはならない集落ビジネスとなっています。また今注目されつつある、社会の課題解決を目指すソーシャルビジネスでもあります。
塩の道保存会は、産業振興計画の地域アクションプランに位置付けられ、支援がスタートしておりますが、私の希望では、関わる集落の人の所得として、月3万円程度の利益が上がるビジネスになるまでの支援が必要だと思っております。
特に即効性があって効果的なワンストップ支援としては、補助金の申請サポートがあります。現在の中心的な補助金は、産業振興推進部関連が多いのですが、その他、商工労働部や観光振興部など県庁各部局に加え、総務省の過疎地域等自立活性化推進交付金や地域力創造のための起業者定住促進モデル事業など、集落ビジネスで活用できる補助金は国と県にたくさんあります。しかし、行政の縦割りの中で、どんな補助金があるのか。どの補助金に申請できるのか、一般の方には全く分かりません。
そこで県は、商品開発や旅行プランなどの地域を活性化させるビジネスプランにおいて、集落ビジネスというカテゴリーを新たに作るお考えはないか。産業振興推進部長にお聞きをいたします。
また永国寺キャンパスのワンストップ窓口に、集落活動センターなどの地域活性化の取り組みに対して大学の知見や学生の活力を生かしたサポート機能を持たせるお考えはないか、文化生活部長にお聞きをいたします。
(2-4 支援策が具体的にわかる広報へ)
次に、産業振興計画に関わるパンフレットについてお聞きします。産業振興計画のパンフレットは、色々な会議の中で配布されたりと、県民の目に触れることが多くなりました。
一方で、内容が充実することに比例して、分厚くなり、読む人にとっては欲しい情報が返って分かりにくくなっているような気がします。
特に取り上げたいものとして、産業振興計画の成果を分かりやすく紹介した「民間事業者の取組事例紹介」というパンフレットがあります。
このパンフレットについて私は、先ほども挙げた、代々家族経営で事業をやっている企業や、法人になっていない個人事業主。また地域に根差した、商工会や商工会議所会員企業などを対象にして、新たな商品開発や販路拡大、設備投資補助金などに特化した内容にバージョンアップすれば、より効果が上がるのではと考えます。
一方で、起業や創業支援などは、新たなパンフレットとして切り分け、先ほどご提案した集落ビジネスを念頭に置きながら、地域活性化グループやNPOそして商工会などの組織には加入しておらず、情報を届けにくい個人事業主などを対象にすべきと考えます。
この起業や創業支援に特化したパンフレットの内容は、補助金でいえば100万円以下のものに絞って、県の産業人材育成施策である、土佐まるごとビジネスアカデミーへの参加を促し、土佐産業おこし参加プランなどへの応募を出口にするなど、実際に手に取った人が次の行動に移すイメージを、明確にできる内容にすべきです。
さらに、土佐産業おこし参加プランに応募した事業者の支援は、「土佐まるごと社中」という高知県の異業種交流会の力も借りて、永国寺キャンパスでの公開ビジネスプラン検討会を開催し、発案者にプレゼンをしてもらって、アドバイザーや傍聴者からの質問を基にプランを練り上げていくプロセスによって、新たな支援企業、新たな販路を見つけることによって、利益の出る事業に育てていく仕組みも作れないかと思うところです。
そこで、産業振興計画に関わる支援策を、効果的にするため、民間事業者の取組事例紹介パンフレットの内容を、地域に根差して長年事業をされている事業者向けに特化すると同時に、集落ビジネスを念頭に、土佐の産業おこし参加プランを出口とした、起業と創業支援のためのパンフレットを新たに作るお考えはないか、産業振興推進部長にお聞きをいたします。
(3-1 避難所外の避難者が、どこに避難するかについて)
高知県は、今年6月に「高知県南海トラフ地震対策行動計画」を策定して、南海地震対策を着実に実行しております。
その中で、最大クラスの地震と発生頻度の高い地震の二つのパターンについて、人的・物的被害の想定をしております。本日は、避難者数に着目をして、お聞きをいたします。
高知県南海トラフ地震対策行動計画においては、避難者数を、1日後、1週間後、1か月後に、避難所と避難所外にどれくらい避難するか想定し、最大クラスの地震で、避難所への避難者数を1日後は28万人。1週間後は24万3千人。最大クラスよりは小さく頻度が高い地震での避難者数を1日後は12万人。1週間後でも9万人と見積もっております。
まず最初に、県は、市町村ごとの避難所の数の過不足を調べて、広域での相互支援体制を検討することになっておりますが、市町村においては、お住まいのできるだけ近くに避難所を確保するための検討も必要と思います。つきましては、その基礎資料となる各市町村の集落ごと、もしくは小学校校区ごとの、詳細な避難者数等のデータについて、市町村に示すお考えはないか?危機管理部長にお聞きをいたします。
(3-2 総合防災情報システムに関わる専任職員の設置について)
最後に、現在開発中の総合防災情報システムについてお聞きします。高知県は現在、インターネットの技術を使って、パソコンや携帯端末の画面で、高知県の地図を表示させ、その地図から被害状況の把握や、避難所の避難者数が分かる総合防災情報システムを開発しています。
このシステムが稼働した際には、高知県全域でインターネットを活用しながらの図上訓練が可能になり、南海地震への備えとして大きな力を発揮することと思います。
この訓練は、まず各市町村が避難所の現在の収容人数、要救護者の有無を端末から入力するフェーズ。次に、一元管理された情報を基にして、要救護者や食料、医薬品の搬送についてのシュミレーションが災害対策本部において行われることと思います。
実施にあたって、平常時にはシステムを活用した市町村職員に入力作業の研修を行う必要があります。
そこで、総合防災情報システムに精通し、市町村との防災訓練を行う際の担当者として、日頃から南海地震対策に対する専任の職員を災害対策支部となる出先の土木事務所に置く必要があるとおもうがどうか?危機管理部長にお聞きをしまして、私の第一問といたします。
◎総務部長(小谷敦君) 依光議員の御質問にお答えをいたします。
集落の区分による人口調査結果を、政策の基礎データとして県民と共有していくことについてのお尋ねがございました。
集落に関するものを含め、各種政策の基礎データとなる統計データを共有していくことは、さまざまな政策の立案、検証をしていく上で大変重要だと考えております。
このため、平成23年度に統計課のホームページをリニューアルし、各種統計の分野別検索機能を設けており、統計課が行う統計調査に加えて、国や県庁各課の統計データにリンク設定をすることで、必要なデータに円滑にたどり着けるよう、利用者の皆様の利便性の向上に努めているところでございます。
御指摘の集落の人口調査については、全庁的に中山間対策等を検討する上での重要な基礎データであることから、全庁で、また、広く県民の皆様と共有することが適当であると考えられますので、データを保有している担当部局のホームページに早速リンク設定をして、県民の皆様がアクセスしやすいようにさせていただきたいと思います。今後とも、各部局と連携し、データの充実を図ってまいります。
(産業振興推進部長中澤一眞君登壇)
◎産業振興推進部長(中澤一眞君) まず、市町村ごとに移住者数の目標が設定できないかとのお尋ねがありました。
お話にありましたように、移住を推進するに当たりまして、目標数値を掲げて取り組みますことは、具体的な施策の内容や、その投入量を検討し、また、これらの効果をはかる上においても大変有効だというふうに考えております。
そのため、県では、県人口全体の社会増減の状況や地域経済に与える影響、産業振興計画を推進することにより創出される雇用の場の数などを考慮しまして、平成27年度の移住者数を年間500組とする目標を設定し、これを達成するため、高知を知って、好きになっていただく段階から、定住に至るまでのステップを5段階に分けて、段階ごとに施策を講じ、全体の移住促進策を組み立てております。
県内の市町村では、大川村が将来に向けて現在の人口を維持するために振興計画を策定され、その方策の一つとして、U・Iターン者数の具体的な目標を掲げて移住、定住に取り組まれています。また、四万十町でも、総合振興計画の中で、都市住民との交流促進を目的に、移住者を受け入れる空き家への入居者数を目標に掲げて取り組みをされています。
こうした大川村や四万十町の事例のように、市町村が目指す将来の姿や、その際に移住をどのように位置づけるかということは、それぞれの市町村が主体的にお決めになるものと考えております。したがいまして、市町村ごとの移住者数の目標を県が定めることは、今のところ考えておりませんが、県全体として掲げる移住者数の目標を達成することや、「移住者と一緒に創る元気な地域」という目指す将来像を実現するためには、市町村と連携・協調して取り組むことが何より重要です。
そのため、市町村との情報の共有はもとより、相談体制の充実や、お試し滞在施設の整備に対する支援を行いますなど、今後とも、市町村としっかり連携をして移住促進の取り組みを進めてまいりますので、その過程で、お話のありました年齢別の人口や小学校区の人口を意識した神山町の事例なども御紹介をしながら、市町村ごとに具体的な目標が共有できますよう働きかけをしていきたいと考えております。
次に、地域を活性化させるビジネスプランにおいて、集落ビジネスというカテゴリーを新たにつくる考えはないかとのお尋ねがありました。
人口減少や高齢化が進む中山間地域などの集落においては、産業振興の観点のみならず、集落の維持、活性化の観点からも、加工品づくりや体験観光のメニューづくりなどの取り組みを進めることが重要だと考えております。
このため、地域アクションプランにより、お話にもありました商品開発や旅行プランなど、地域を活性化させる取り組みを、それぞれの段階や課題に応じて、きめ細かな支援を行っているところです。
また、集落活動の拠点となります集落活動センターにおきましては、その活動を継続していくためにも経済活動が重要となりますことから、地域の実情に応じて、特産品づくりや販路拡大などの取り組みを積極的に支援しております。
加えて、本年度からは中山間対策の新たな重点テーマの一つに、小さなビジネスを位置づけまして、地域の生産者グループなどによる加工品づくりなどの小規模なビジネスも積極的に支援をしているところです。
これらの取り組みは、明確なカテゴリー分けはしていないものの、まさに議員御提案の集落ビジネスの取り組みであるというふうに考えておりまして、市町村との連携のもとで、地域支援企画員や産業振興推進地域本部におけるサポートを通して、その活動が活発になるとともに、地域地域に新たな活動が生まれてくることも意識して進めているものでございます。
今後とも、地域支援企画員の日々の活動や、地域のワンストップ窓口であります産業振興推進地域本部などを通じまして、住民の皆様や市町村の方々と集落の現状や課題を共有し、お話の集落ビジネスの担い手の皆様の思いや願いを形にできますよう、一緒に汗をかいてまいります。
次に、起業と創業支援のためのパンフレットを新たに作成する考えはないかとのお尋ねでございます。
産業振興計画の取り組みに多くの皆様に御参画をいただき、さらに大きく、さらに広がりのあるものにしていくため、経済活動の主役であります事業者の皆様方に県の支援策を積極的に活用していただきたいという思いから、県の支援策と、これらを活用した取り組みの事例をあわせて紹介するパンフレットを昨年度から作成をしております。
御提案のありました、現在のパンフレットを商工会や商工会議所に加入する事業者向けに特化したものにすることや、起業と創業支援のためのパンフレットを新たにつくることにつきましては、ターゲットごとにそれぞれ必要と思われる情報だけを届けることでわかりやすいものになるといったメリットが考えられます。
一方で、それぞれの事業者の中には、全ての支援策が活用できる方もいらっしゃいますので、施策全体を網羅した上で、目的や対象をわかりやすくお示しするほうが実用的なのではないかとも思っております。
平成25年度のパンフレットでは、事業者や地域のグループの皆様のやりたいことに応じた支援策が探しやすいような構成といたしておりますが、お話にありました集落ビジネスに当たるケースで活用できると考えられる中山間対策や地域づくり分野の施策や、その活用事例は、現在、集落活動センター支援ハンドブックというものに整理をいたしておりますので、こうした分野を含めまして、県民の皆様から見て使い勝手のよいものになるよう、検討をしてみたいと思います。
なお、現行のパンフレットの裏表紙にも、地域の産業に関することなら、まずは地域のワンストップ窓口である産業振興推進地域本部に御相談をいただきますようPRをさせていただいておりますように、活用できる支援策がわからないといったような方は、ぜひとも御相談をいただきたいと思いますし、その際には、次の行動に移っていただくためのサポートを全力でさせていただきたいというふうに考えております。
(中山間対策・運輸担当理事金谷正文君登
壇)
◎中山間対策・運輸担当理事(金谷正文君) 結プロジェクト推進事業の実施状況と今後の方向性についてのお尋ねがございました。
この事業は、地域活動の維持が困難となった中山間地域の集落と、都市部の企業や大学などとの交流活動を通じて、相互のきずなと親交を深めることで協働の仕組みや地域づくり、集落の維持再生につなげていこうとする取り組みでございます。
交流を希望する中山間地域の集落のニーズを取りまとめまして、都市部の民間団体などとの橋渡しを県が行うものでございます。本年度は、13市町村の19の地域で交流活動を実施していただくこととなっております。
地域からは、大学生を希望する声が多かったこともございまして、今年度の取り組みは大学関係が中心となっており、日常生活における課題の聞き取りと解決策の提案といった取り組みや、地域イベント、集落内の道路の草刈り作業を通じた交流などが行われております。また、事例のほうは少のうございますが、民間企業による地域資源の磨き上げの取り組みや、地域の祭りの維持に向けた支援などの活動も出てきております。
こうした取り組みを通じまして、都市部の方々に広く中山間地域に関心を持っていただけるように努めてまいりますとともに、交流をきっかけといたしまして、相互のきずなが深まり、活動がそれぞれの地域に根づいていくように、県といたしましても、しっかりとサポートしてまいりたいと考えております。
(文化生活部長岡崎順子君登壇)
◎文化生活部長(岡崎順子君) 集落の歴史などの情報を市町村が中心となって一元的に管理し、ホームページで情報提供できるように県として支援ができないか、また、歴史や文化を移住促進に活用する仕組みがつくれないかとのお尋ねがございました。
集落の歴史や文化を記録し、その情報を広く県内外に発信していくことは、地域の魅力を伝え、地域への理解を広げていく上で重要であると認識しております。こうした情報の多くは、集落に最も身近な市町村において、例えば、市町村史の編さんといった形で整理がなされておりますことから、県におきましては、歴史民俗資料館などを通じて市町村の情報を補うような資料の提供や専門的な助言を行ってまいりたいと考えております。
また、現在、整備を進めております新資料館の情報発信機能の一つとして、これらの情報について、ホームページなどを活用し、県内外へ広く発信していきたいと考えております。その際には、市町村との連携を深めながら、より効果的な情報提供の仕組みとなるよう研究してまいります。
また、移住促進につきましては、これまでも龍馬やよさこい祭り、土佐和紙工芸など、歴史や文化に関する情報を契機に高知県内に移住し、地域の文化の担い手になっていただいている事例もございます。
今後は、こうした事例を広くホームページ等で紹介することや、新しくスタートした幸せ移住パッケージシステムの文化情報をさらに充実させることによりまして、移住促進に生かしていくとともに、地域の文化の担い手になっていただける方にアピールしてまいります。
次に、永国寺キャンパスのワンストップ窓口に、地域活性化の取り組みに対して大学の知見や学生の活力を生かしたサポート機能を持たせる考えはないかとのお尋ねがございました。
地域の課題解決に向けて地域の方々が主体となって行われているさまざまな取り組みに、大学の知見や学生の柔軟な発想と行動力を導入しますことは、課題解決の方向性を見出し、地域の方々の取り組む意欲を引き出すといった効果が期待できますし、そのことが、大学の教育や研究活動の充実にもつながるものと考えております。
これまで、大学など県内の高等教育機関におきましては、それぞれの専門分野を生かした地域への貢献活動としまして、例えば、スポーツや地域の食材による健康増進の研究や、地域特有の文化の調査、地域の資源を生かした特産品づくりや各種公開講座などが行われております。また、県立大学では、先日公表しました地域のニーズ調査等をもとに活動を拡大していくなど、それぞれの機関が、今後もさらに地域貢献活動に力を入れていくと聞いております。
現在、設置に向けて取り組んでおりますワンストップ窓口では、議員のお話にもありました、今まで大学とは縁が薄かったと思われる地域の企業や個人事業主の方々はもちろん、広く県民の皆様が大学の専門的な知識や研究成果を知り、活用する機会を提供してまいりたいと考えております。これに加えまして、大学の教育・研究活動と地域の課題解決のニーズとのマッチングをサポートする機能を持たせることによりまして、地域の活性化を支援していければと考えております。
(教育長中澤卓史君登壇)
◎教育長(中澤卓史君) 登録有形文化財の建造物について、県内での登録状況と活用状況についてお尋ねがございました。
高知県の登録有形文化財の建造物につきましては、民家や寺社、店舗、橋など、50年を経過し、時代の特色をよくあらわした文化財的価値のある建造物が、現在94カ所で273棟登録され、所有者によって、それぞれ保存管理されております。
なお、この273棟という数は、全国で言いますと、都道府県別で11番目の数になります。
これらの建造物は、民家や寺社などとして利用されているほか、ひな祭りの会場や地域の古い町並みを形成する歴史的建造物として、観光にも活用されているものもございます。
登録されますと、固定資産税の軽減など税の優遇措置が適用されるほか、地域での歴史的建造物としての評価が高まることが期待されますので、今後も、市町村とも連携をしながら登録を進めることにより、多くの建造物が保存され、まちづくりや観光などに活用されるように努めてまいります。
(知事尾崎正直君登壇)
◎知事(尾崎正直君) 永国寺キャンパスを、県勢をさらに発展させる連携と県民参加を促す知の拠点とする決意についてお尋ねがありました。
本県が、人口減少などに起因する構造的な課題に真正面から立ち向かい、県勢浮揚に向けて産業振興計画や日本一の健康長寿県づくり、中山間対策などの重要政策をさらに高いレベルを目指して推し進めてまいりますためには、高知大学、高知県立大学、高知工科大学という県内3つの大学を初めとする高等教育機関の知の集積を活用していくことが極めて重要であります。
そのためには、3大学を初めとする高等教育機関や経済団体、行政などの関係機関が目標を共有し、横の連携を強め、情報共有を行いながら、各専門領域を生かした産学官連携や地域との連携をともに進めていくことが大切であります。
産業振興計画では、地域の方々や企業、団体、行政など、まさに官民一丸となって総合力を発揮できるよう進めてまいりました。そうした中、土佐まるごとビジネスアカデミーや産学官連携会議など、産学官連携による社会人教育や研究開発支援などの仕組みが動き出したところでございます。
お尋ねの永国寺キャンパスは、社会に貢献する知の拠点として、高知県立大学の文化学部の拡充と、高知工科大学の社会科学系学部の開設など、大学教育や研究活動の充実を図ることに加えまして、社会人教育や民間との共同研究の活発化など、産学官連携や地域との連携の仕組みを具体的に動かしていく重要な拠点となることが期待をされます。
これまでも、高知県立大学の地域教育研究センターや健康長寿センター、高知工科大学の地域連携機構、高知大学の国際・地域連携センターでは、積極的に社会貢献活動に取り組んできております。これら各大学での取り組みに加えまして、産学官連携や地域との連携を推進していくエンジンとなり、かつ、県民参加を促すワンストップ窓口となるセンター機能を持った組織を設置する必要があると考えております。
今後とも、3大学を含む関係機関との協議を重ね、横の連携を図りながら、全国に誇れるような本県らしい産学官連携の仕組みの構築を、大学の整備と両輪で進め、県勢浮揚に向けた知の拠点となるよう目指してまいりたいと考えております。
本県の産業振興を進める上で、高知大学の地域協働学部に期待することと、地域に派遣される高知大学派遣地域コーディネーターへの協力体制についてお尋ねがありました。
高知大学では、地域志向に特化し、地域協働リーダーの育成を通じて地域の活性化や再生に貢献する地域協働学部の新設を柱とした全学改組による教育改革と大学ガバナンス改革を行い、地域の知の拠点としての機能を強化する、地域再生の核となる大学づくりに取り組んでいるとお聞きをしております。
また、この改革の一環として、県内各地域にコーディネーターを駐在派遣し、地域の課題やニーズの収集を行い、大学の教育・研究シーズとマッチングすることによって課題解決を図ろうとする取り組みを進めていくことになっております。これらの取り組みにつきましては、私も大いに賛同いたしておりまして、文部科学大臣に直接お会いして、その旨お話しさせていただいたところでもあります。
県としましては、この高知大学の地域協働学部の設置によりまして、地域に若者の活力が入り、学生ならではの視点から、課題の発見と解決策の検討がなされることで、地域の産業振興の取り組みの活性化が促されることはもとより、地域協働学部の学生が卒業後も地域に残り、地域協働リーダーとして活躍されていくことも期待をいたしております。
また、高知大学から各地域に駐在派遣されるコーディネーターにつきましては、県の地域産業振興監が駐在する庁舎のスペースを一部提供し、各ブロックの地域産業振興監との情報共有や連携を図ることとしておりまして、コーディネーターの方々が取り組む地域の課題収集と課題解決に向けた活動が円滑になされるよう協力させていただくこととしております。
こうした協力体制のもと、県と大学が連携して、地域地域の産業振興をより多角的な視点から支援することで、地域産業振興の一層の加速化を図ることができるのではないかと考えておるところであります。
私からは以上でございます。
(危機管理部長高松清之君登壇)
◎危機管理部長(高松清之君) 南海トラフ地震対策に関して、まず、避難者対策を検討するために、詳細な避難者数などのデータを市町村に示す考えはないかとのお尋ねがございました。
最大クラスの地震・津波が発生した場合、県全体では約12万人分の避難所が不足することが明らかとなっております。
県といたしましては、こうした状態を解消するため、例えば、避難所となっている学校では、体育館だけではなく教室の利用を検討していただくこと、あるいは避難所として使える地域の集会所の耐震化を進めることなど、収容人数をふやす対策の促進を市町村に要請してきておるところであります。
こうした中で、それぞれの市町村において、集落、もしくは小学校区単位といった住民の方々の住まいのできるだけ近くに避難所が確保できるよう、きめ細やかな検討を行うことは意義のあることだと思います。
このため、県といたしましては、市町村がそうした検討を行う際には、お尋ねのありました集落単位、あるいは小学校区単位で、避難者数を推計するために必要となる250メーターメッシュごとに居住者数や建物の全壊数、半壊棟数といったものを割り振ったデータと、これらを用いた計算方法を提供するなどの協力をしてまいりたいと考えております。
次に、総合防災情報システムに関して、災害対策支部への地震対策を担当する専任職員の配置についてのお尋ねがございました。
新しい総合防災情報システムは、これまで専用の端末でしか利用できなかった従来のものと違って、インターネットを経由してどのような端末からでも利用できるようになってまいります。
これにより、例えば、消防防災ヘリが撮影した映像や、災害の現場から携帯電話などで入力した被害情報を、県や市町村、消防などの応急救助機関がリアルタイムに共有をし、災害対応に関する迅速な意思決定につなげることができると考えております。
また、新しいシステムでは、道路の寸断や市街地の浸水、あるいは火災の発生といったさまざまな被害状況を端末の画面上の地図に表示をし、一覧することも可能となるなど、システムの機能は大きく向上してまいります。
お話のありました専任職員につきましては、こうした機能の高くなる新しいシステムの機能を十分に使いこなしながら、南海トラフ地震に向けた防災訓練を企画し、また、市町村や応急救助機関との連携をコーディネートし、そして実施をしていくという重要な役割を果たす存在だと思いますので、今後、災害対策支部の体制強化、あるいは、現在整備を進めております総合防災拠点の運営などを担う職員の配置、こういったことなどとあわせて検討してまいりたいというふうに考えております。
◆9番(依光晃一郎君) それぞれ前向きな御答弁をいただきましたので、2つ要請させていただいて終わりたいと思います。
まず、第1点は、永国寺キャンパスです。
いろいろな大変なことがあるんだと思いますけれども、しっかりやれば、10年後、20年後に必ず成果が出ると思っておりますので、知事、副知事のリーダーシップによって、いいものに仕上げていただきたいと思います。
それともう1点が、「高知家」のコンセプトについてです。
質問の冒頭にもお話をさせていただきましたが、「高知家」というメッセージに対して、多くの人が一肌脱いでやろうというような気持ちになっておりまして、私の知る範囲でも、高知県産品の販売促進のために、あのバイヤーにつないであげようというようなこと、きっと売り上げが上がるから、手弁当で売り込んであげた、そんな話も聞かせていただきました。知り合いの方が、その方はプロでやっている方なので、なぜ、ただで手弁当でやったんですかと聞いたら、自分も「高知家」の一員だからね。そんないい話を聞かせていただきましたけれども、これと同じような話というのは、いろんなところで県内各地にあるんじゃないかと思います。
県庁が発したメッセージですから、このメッセージに対しまして、心意気を持って県庁の皆様にも応えていただきたいと思いますし、また、この「高知家」コンセプトというものが、私の言葉で言えば、課題解決の羅針盤というように思っておるのですが、ぜひとも高知県の中で、大事なキーワードとして高めていっていただきたいと、そういうことを思います。
これで、私の一切の質問とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)