Last Update:16/08/08

 平成27年6月定例会 一般質問(7月3日)
 

 
   ■県政報告(H28.4.20発行) [PDFファイル版/1MB]
   音声データ(1時間19分)[WMAファイル版/55.2MB]
 
 <質問概要>

高知家のスター戦略について
(1-1)高知家のスター戦略について
(1-2)高知家のスターを生み出す教育について
(1-3)県外進学した大学生のUターン割合について
(1-4)社会人のUターン就職について
(1-5)引退された方々への移住支援策について

地域経済分析システムについて
(2-1)四国3県への流出超過への対策について
(2-2)30代の都会からの転入超過の現状について
(2-3)県境をまたいだ中山間対策について
(2-4)産業マップの活用策について

物部川の堆積対策について
(3-1)永瀬ダムへの土砂の流入量と、河床の高さの公表について
(3-2)物部川の堆積土砂処理場について

南海トラフ地震対策について (4-1)南海トラフ地震対策におけるアクションカードの活用について
(4-2)災害訓練の効果的な実施について
(4-3)南海トラフ地震対策に関わるプロフェッショナル人材の育成について

 
 <一括質問>

◆14番(依光晃一郎君) おはようございます。早速質問をさせていただきます。  高知県は、高知家コンセプトを最大限使ったPRで、地産外商や観光、そして移住と成果を上げています。そして、今年度は「高知家の家族は、みんなぁがスターやき。」というコンセプトを打ち出しました。私は、今回のコンセプトについても非常におもしろいアイデアだと思っています。  高知県が今年度募集している方々は、スターという一般的なイメージからいうと少し地味に感じられるかもしれません。しかし、スターのイメージに新たな切り口を見出したこのコンセプトは、高知県の課題解決はもちろん、日本の課題解決への大きなヒントになります。  毎日のようにテレビや新聞で報道されている地方創生の議論は、人口問題の解決のため、東京への一極集中の流れをとめ、いかに将来を担う人材に住み続けてもらうかという議論です。私は、この議論の解決には、長く続いている価値観の転換が必要であり、価値観を変えることへの地道な作業を積み重ねる必要があると考えています。  その価値観とは、東京で出世をすることが田舎で仕事をすることよりも成功しているというイメージのことです。わかりやすくするため、学校の同窓会を例にします。同級生が集まっての同窓会を想像してください。友人が今何をしているかという話題になったとき、どんな同級生を憧れの生き方、つまりスターとして意識しているでしょうか。私の感想ですが、誰もが知っている大企業に勤め、高い給料をもらって都会で生活している友人をスターとし、高知に残って仕事をしている同級生を下に見ているということが多いのではと思います。  私は、「高知家の家族は、みんなぁがスターやき。」というコンセプトは、これまでの東京一極集中の価値観に一石を投じていると感じます。スターは都会だけではなく地方にもいるんだという、世の中への問題提起です。このことを前提に、以下質問させていただきます。  私は、高知家のスター戦略は、高知に住む魅力ある方々に高知のよさを県外の人々にPRしていただくことにとどまらず、高知県に住む高知県民に向けても、自分の住んでいる土地に誇りを持ち、日々の仕事や活動を通じて高知県を住みよいところにしていこうと前向きに発信していただいているように感じます。  また、昨年8月に、高知県の取り組みとも歩調を合わせて、高知県の幸福度を考える県民会議、通称GKH県民会議によって高知県独自の幸福度の指標をつくり出そうという運動がスタートしました。都会に負けない高知県のよさを数値化しようという動きです。こういった活動の広がりは、都会への一極集中の是正に大きな力となっています。  そこで、知事は高知家のスター戦略に対してどのような思いを込めて、またどのような成果を期待して施策を実施されているのか、お伺いをいたします。  次に、高知県のスターを育む教育についてお聞きをいたします。  まず最初に、私にとってのスターについてお話しさせていただきます。  私にとってのスターは、家業が瓦屋であることから、とても身近な存在である大工さんです。新しい木の香りのする建築現場で、金づち、のこぎり、かんなを使って大きな家をつくり出す姿は、憧れそのものです。しかし、プレハブ建築やマンション全盛の今の建築業界では憧れの大工さんたちの仕事は減り、廃業する方々もいて、本当に残念に思います。  高知の伝統的な産業を担う1次産業や商工業、建築、土木に携わる方々は収入面で不安定になってきたことから、息子さんや娘さんを都会の大学に入れたり都会の企業で働く道を勧めていたりします。こういった現状は、高知の伝統的な産業の力を長期的に失わせていきます。  そこで、私が高知県の教育に期待することは、スターとして輝く土佐人の育成、土佐人であることに誇りを持って社会に貢献する人材の育成です。そのため、学校運営において、生徒自身の希望に反して、偏差値の高い学校に進学して大企業に入ることが幸せな生き方であると定義するような進路指導ではいけないと思います。  有名大学への進学を誇るという学校運営は、昨年話題になった、難関大に合格したら100万円という九州の県立高校の事例もあり、いまだに根強い価値観であると感じます。難関大に合格したら100万円の何が問題かといえば、大学に入ることが目的化していることであり、何を学び、どうやって輝く人生を送るかではなく、輝く大学のブランド、輝く肩書に憧れるという価値観が問題だということです。  定年退職後は輝く会社の看板を失う肩書スターではなく、自分自身のやりがいを通じて社会貢献し続ける真の土佐人スターを生み出す教育を願うところです。  幸いにして、高知県の教育現場は本当の意味でのキャリア教育を実践しています。高知県で活躍する社会人のやりがいや経験を聞く授業や、地域の伝統文化を学ぶために学校を飛び出して地域住民の方々と交流するなど、子供たちそれぞれの個性を生かす指導が行われていると感じています。しかし、進路指導の場面では、まだまだ生徒の希望というよりは親御さんの希望とも相まって偏差値の高い学校へ行った生徒や大手企業に就職した生徒が評価されるというようなことがあるのではと思います。  例えば、生徒が親の跡を継いで農業をやりたいと言ったときに、親は、農業はもうからない、よい学校に行って県外の大手企業に入れと言い、進路指導の先生も、農業高校よりも偏差値の高い学校に行けば選択肢がさらに広がるというような指導が行われ、本人の志を周囲が諦めさせるというようなことは、個人的には残念に感じます。一度就農してから、実際に作物を育て販売するという試行錯誤の中で課題を発見し、改めて大学で学びたいと思い、目標を持って学び直すということも十分に可能だからです。  そこで、今回のスター戦略を契機に、教育界でも地元の産業に貢献できる人材育成という点で大いに議論していただきたいと考えますが、生徒の希望、保護者の希望をどのように進路指導に反映しているのか、また生徒に対して高知県の働く場所についてどのような職業教育を行っているのか、教育長にお聞きをいたします。  次に、高知県は、ことし3月26日に、高知県まち・ひと・しごと創生総合戦略を全国に先駆けて発表し、8月までには人口の将来展望をより詳細に盛り込むため、県民の進学や就職等に関する意向調査を行うとしており、県外に進学した大学生を高知に呼び戻すという議論がさらに進んでいくものと期待をしております。  そうした中で、まず県外に進学した大学生がどのくらいの割合で高知県にUターンして就職しているのか、お聞きいたします。この質問は、4年前の6月議会でも質問させていただいたのですが、正確な数の把握は難しいことは承知しています。しかし、改めて県内の高校生のうち県外の大学へ進学した後に、どれくらいの大学生が地元にUターンして高知県企業に就職しているのか、現状を商工労働部長にお聞きいたします。  次に、社会人のUターン就職についてお聞きをいたします。  私は、人材の議論をもう少し深めて、都会で一度就職して経験を積んだ後に高知県に帰りたいという希望者のための仕組みづくりをもっと強化できないかと考えるところです。特に、結婚前や子供が小学校に上がる前のタイミングに力を集中させるべきです。このタイミングを逃すと、家を建ててしまったりとUターンへのハードルが高まってしまうからです。  現状、都会で働いている高知県出身者に高知県の中途採用の情報を届ける方法としては、ハローワーク、高知県の民間就職支援企業、そして、ことしからは高知県事業承継・人材確保センターがあります。インターネットや都会での就職相談会による情報発信など、内容も充実してきています。センターの取り組みを、さらに成果を上げるものとするためには、会社とのマッチングをきちんと行う取り組みが重要です。Uターン就職をしたいと考えている方々の多くは、都会での経験を高知で役立てたいと考えていますが、実際には高知では希望する雇用条件に合う企業がないということが多くあります。  こういった希望と現実の溝を埋めるためには、Uターン希望者の働くイメージを高知県企業の実態に合わせるコンサルティング機能が重要ですので、この部分にもしっかりと力を入れていただきたいと思います。  そこで、都会で仕事をしている高知県出身者のUターン支援についてどのようなことが課題となっているのか、商工労働部長にお聞きをいたします。  次に、高知版CCRCに関連して、引退された方々への移住支援策についてお聞きをいたします。  私は、引退された方々に高知県に移住していただくためには移住後の役割ややりがいをどうイメージしてもらうかという視点が重要であると思っています。  平成24年9月の本会議でも、永国寺キャンパスを核としたリタイアメントコミュニティーについて質問させていただきました。高知の歴史や文化、自然を研究材料とした研究者としての老後や、県外企業の経験を高知県企業に役立ててもらうなど、高知に来てからの役割とやりがいづくりについても前向きな御答弁をいただいたところです。  特に、定年退職された方々は、現状の肩書がないのではと思いますので、大学との話し合いをさらに進めて産学官民連携センター、◯◯分野研究員というような肩書をつくって定期的な発表の場を永国寺キャンパスに設けることを打ち出し、老後の研究者としてのライフスタイルをイメージできるような移住施策ができないかと思います。  また、現在の移住者の中には映画監督や漫画の編集者など社会的な評価を得た高知家スター移住者も活躍していただいているところです。この流れを継続していくためには、スター移住者を呼び込むスカウト機能についても議論が必要と思います。  スカウト機能というのは、高知県の移住戦略においてブランドイメージを高める目玉になるような方々を高知県との関係の深さをもとにしてリストアップし、企業、団体、県人会、校友会、観光特使の皆さんなどで情報共有して、お金は払えないけれども名誉は持っていただくべく、例えば大学の客員教授として来てもらうなどというような試みです。  そこで、高知県はCCRCの議論が進む中、移住者のやりがいづくりと県内の課題解決のマッチングに関して、知の拠点、産学官民連携センターとしてどういった役割を果たすのか、文化生活部長にお聞きをいたします。  次に、国が4月21日より供用を開始した地域経済分析システム、通称リーサスについてお聞きをいたします。この地域経済分析システムについては2月議会で取り上げさせていただいたものの、まだ稼働前であったため、執行部の皆様には御答弁で御迷惑をかけたわけですが、改めて取り上げさせていただきます。  私自身、このシステムを実際に動かしてみて幾つか改善すべき点があると感じますが、うまく使いこなせば、新しい政策立案や政策の根拠を明示できる有効なシステムであると思います。  まず、四国3県への人口流出超過への対策についてです。地域経済分析システムを使って高知県の全ての年齢で転入と転出の多い都道府県を見ます。このシステムは、転出、転入の超過数を見るもので、100人が転出し100人が転入した場合は0となり、100人が転出し50人が転入した場合は転出超過50となります。  転出超過は、想像どおり東京を中心とする首都圏と関西圏が多くなっています。しかし、ここで私が注目するのは、香川、愛媛、徳島の四国3県への転出がベスト10に多く入っているということです。昨年平成26年で見てみると、1位東京402人、2位大阪286人、3位兵庫227人の転出超で首都圏、関西が多いのですが、5位香川192人、7位愛媛119人と四国の2県がベスト10入りしています。一昨年平成25年は、1位東京316人、2位兵庫214人、3位に香川198人と、香川県が3位。平成24年は1位徳島273人、2位香川256人、3位兵庫237人、7位愛媛138人、3県ともベスト10入りです。  このように四国3県に高知県からの人口流出が続いているというのは非常に残念に感じますし、県が目標とする高知県の社会増減をプラス・マイナス・ゼロにするという大目標に向かうための小目標として、四国3県への流出をプラス・マイナス・ゼロにするという目標をつくってはと思います。  そこで、この四国3県に人口が流出している現状をどのように分析するのか、また高知県の社会増減をプラス・マイナス・ゼロにするという大目標に向かうための小目標として、四国3県への流出をプラス・マイナス・ゼロにするという目標をつくってはと思うがどうか、産業振興推進部長にお聞きをいたします。  次に、どういった県からのUターン者、移住者が多いかを分析します。この分析については残念ながら年ごとのばらつきが大きく、毎年ランクインする県はありません。参考に御紹介すると、昨年平成26年の1位は新潟の21人、同じく青森21人、続いて富山、山形、鹿児島と、大学生の入学者の数に影響を受けているのではと想像します。  しかし、30歳代の数値を取り出すとおもしろい現象が見つけられます。30代の高知からの人口流出は、都会ではなく四国3県への流出が目立ちます。一方で、転入超過の過去3年のベスト3は、東京、大阪、神奈川が順位を入れかえてランクインしています。このことは、30代は都会へ旅立つのではなく、都会から帰ってくる年代であること、また移住者からの人気が高いことも要因として大きいのではと感じます。さらに、都会ではなく四国への流出が多いというのは、何かあればすぐに戻れるところでの仕事を選ぶ傾向が読み取れ、高知県内に希望の仕事があれば高知に戻ってくる可能性が高いのではと考えられます。  この地域経済分析システムを使えば、例えば30代の人口移動について県がまず仮説を立てて、その仮説を検証するための詳細な情報を市町村から提供してもらい、30代に向けた移住施策についての連携した政策立案にも役立てられるのではと思います。  そこで、高知県は人口の転入、転出の詳細な分析を行うために市町村との人口情報の共有についてどれくらい力を入れているのか、また市町村との人口の詳細分析の結果を移住施策のバージョンアップにどうつなげるのか、産業振興推進部長にお聞きをいたします。  次に、地域経済分析システムの観光マップから見える中山間地の生活支援についてお聞きをいたします。  この観光マップの基礎データは、携帯電話のGPS機能によるビッグデータを活用することによって、観光客及び住民がどの時間にどこにいるかということが視覚的にわかるものとなっております。ちなみに、使い方の例ですが、メッシュ分析というものがあります。香美市を例にとれば、龍河洞とアンパンマンミュージアムの2地点において、時間ごとにどれだけの人が集まっているかがわかります。アンパンマンミュージアムに来たお客さんを龍河洞に送客するためにどうしたらよいかという戦略を、昼食の時間帯にどこで食事をとってもらうかというポイントで、時間ごとの観光客数を見ながら立案するようなことが考えられます。  現状ではシステムとしての精度が低く、使えるシステムにはまだまだという印象ですので、国への改善要望などをお願いしたいと思います。  さて、本題は観光ではなく中山間対策です。観光マップの機能にFrom-to分析というのがあるのですが、香美市に県外から来た方々の居住地がわかるようになっています。香美市において、昨年平成26年を見ると、平日は徳島県三好市、休日は徳島県那賀町からのお客さんが多いことがわかります。平日に三好市からの人口が多いというのはJR土讃線を使って阿波池田駅あたりから土佐山田駅に通勤している方がいると想像できますし、休日に那賀町からの人口が多いというのは旧徳島県木頭村から旧物部村に195号を使って車での買い物に来ている方々が多いということが想像できます。  特に、徳島県那賀町木頭地区の皆さんにとっては、香美市物部町に商店があり買い物ができるという安心感は大きいものがあるのではと思います。  そこで、これまでも中山間対策を進めるに当たって、徳島県、愛媛県との話し合いが行われていると思いますが、改めて高知県の県境の市町村における、県境をまたいだ連携について、鳥獣被害対策や買い物、移動手段についての話し合いがどの程度進んでいるのか、中山間対策・運輸担当理事にお聞きをいたします。  次に、産業マップに関してお聞きをいたします。  私は、地域経済分析システムの目玉の機能は産業マップであると思っていまして、地場の企業を3つに分類して政策を立案するということに期待をしております。ちなみに、この3分類は、分類1、コネクターハブ企業、地域の中で取引が集中しており地域外とも取引を行っている企業、そして地域からより多くの仕入れを行い地域外に販売している企業、分類2、雇用貢献型企業、雇用創出・維持を通じて地域経済に貢献している企業、分類3、利益貢献型企業、利益及び納税を通じて地域経済に貢献している企業という3分類です。  残念ながら、この産業マップは行政担当者しかアクセスできず、我々は見ることができないのですが、高知県の産業振興計画をより発展させるためにこの産業マップのデータが活用できるのか、また活用できるならどのような形で生かしていこうとしているのか、商工労働部長にお聞きをいたします。  次に、物部川の堆砂についてお聞きをいたします。  香美市を流れる物部川では、ここ近年の集中豪雨などにより、山腹崩壊などによる土砂の流入が続いており、香美市物部町地区の住民から、香美市と県の産業振興土木委員会に永瀬ダムの堆積土砂の除去に関する要望が上がってきております。  58年前に完成した永瀬ダムですが、建設当初に100年後の堆積予想の数字を出しており、その想定は1,350万立方メートルということでした。現状の堆積量は2013年末時点で1,460万立方メートルですから、建設当初の年13.5万立方メートルで計算すれば108年分となります。  別の見方で現状の堆積量を見た場合、建設当初の堆積予想で57年分である769.5万立方メートルを基準にすれば、現在の永瀬ダムの堆積量は57年前の想定の1.9倍にもなります。  私自身は、この堆積ペースはさらにスピードアップすると考えています。その根拠は、ここ数年の山腹崩壊に関して護岸工事が追いついておらず、物部川に流れ込む土砂を食いとめることができていないこと、また物部川への堆積土砂の影響で河床が上がり、川の水がこれまでぶつからなかった高さの河岸にもぶつかるようになり、新たに土砂を洗掘するようになったことです。  この川の流れが高くなったことの影響は、物部川沿いの林道宇筒舞線で顕著で、道路の下の護岸が、河床が上がることによる川の流れの変化により侵食され、ガードレールが道路の高さまで地盤沈下するような状況となり、生活道が危険にさらされるような状況になっております。  永瀬ダム管理事務所では、今年度予算で、ダムの上流に土砂を食いとめる貯砂ダムの調査設計費用として1,800万円、佐岡貯砂ダムの土砂の撤去を2,800立方メートル行うということで努力をしていただいております。  しかし、建設当初の想定である年13.5万立方メートルの土砂の流入を基準に考えても、年2,800立方メートルの土砂撤去は年間流入土砂量のせいぜい2%程度であり、根本的な解決にはほど遠いという現状です。  永瀬ダムは、香美市にとっても高知県にとっても重要な施設であり、管理していくためにあらゆる知恵を出していかねばなりません。昨年7月からは、土砂の堆積状況についての詳細調査がスタートしたとお聞きしていますが、現状をきちんと住民と共有するためにも、永瀬ダムに流入した土砂の年ごとの流入量の推計値、また上流域の河床の高さを、幾つかの地点を観測地点として定め、あわせて公表するべきではないかと思います。  このことは効果的な貯砂ダムの設置や堆積土砂の撤去、また住民の意識向上による山林の表土流出防止のための森林管理にも役立つものと思います。  そこで、平成23年から平成25年の流入量は3年間で171万立方メートルと聞いていますが、平成26年の流入量の推計値はどれくらいか、また幾つかの地点を定めて河床の高さを年ごとに公表し、今後の施策に生かしていくお考えはないか、土木部長にお聞きをいたします。  次に、堆積処理場の事前の確保についてお聞きをいたします。  永瀬ダムの堆砂には抜本的な解決は難しく、上流域の堆積土砂の撤去を地道に進めていくしかないのだと思います。この工事は秋から冬の非かんがい期に行われるわけですが、できるだけ多くの土砂を効率的に撤去するためには、堆積処理場の確保が重要です。  現在、堆積土砂の有効利用ということで、香美市の業者が建設用資材として再利用を行っていますが、その量には限りがあり、永瀬ダム上流域にきちんとした堆積処理場の確保が必要と思われます。  また、南海トラフ地震時には、国道195号や県道、市道も土砂崩れにより寸断されることが予想されますが、早期の道路啓開にも有効です。  永瀬ダムの土砂の量を考えると相当の量の土砂を処理できる場所が必要となりますが、香美市の過去の事例では、べふ峡温泉の建設時に物部川の川の流れを変え、もとの流れの谷を埋め立てたという事例があります。この事例を参考にすれば、国道195号の根木屋集落と岡ノ内集落の間は物部川が北側に蛇行しているわけですが、その蛇行した部分を堆積処理場にできないかと考えます。  そのためには、物部川を直線的に流すため山を削る工事が必要となります。当然、県独自の予算では難しいので、国の支援も不可欠です。メリットとしては、1つ目、国道沿いに堆積処理場がつくれるということで、効率的な運送が可能で遠くの残土処理場に運ぶ費用が将来にわたって節約できること。2つ目、地形的に相当量の堆積土砂を処理できること。3つ目、地形的に山を削る面積を小さくできることなどです。  すぐに実現は無理だと思いますが、今後の永瀬ダムの土砂の堆積量を推計し、あわせて南海トラフ地震の道路啓開の事前対策としてもどれだけの土砂を処理しないといけないか計算すれば、費用対効果は高いのではと思います。  そこで、県は永瀬ダムの堆積土砂の処理に関してどのような対応を考えているのか、また抜本的な対策として堆積土砂の処理についての場所選定に関する調査を行うお考えはないか、土木部長にお聞きをいたします。  次に、南海トラフ地震対策についてお聞きをいたします。  高知県は、昨年度より南海トラフ地震対策推進地域本部を県内5カ所に設置し、今年度は土木事務所と福祉保健所に兼任職員を置いて南海トラフ地震への体制を加速化させています。これまでの県の積極的な活動により、津波からの避難路の確保や津波避難タワー整備、また通信機器の整備などハード面の整備は一段落し、今後はソフト面での対応が急がれます。  私は、南海トラフ地震対策に関しては、いざ地震が発生というときには平時に使えるマンパワーの半分以下の力で対応せねばならないと考えています。いざ災害時に計画どおりに県庁や出先機関に人が集まることには不安がありますし、まして平時のときのように冷静な診断が下せるかというと難しいのではと感じています。  この課題の解決には、事前の準備とできるだけ効果的な訓練が必要と考えているのですが、本日は中央東福祉保健所で導入されていて解決に効果が高いと評価しているアクションカードについてお聞きをいたします。  このアクションカードというのは、南海トラフ地震発災後に中央東福祉保健所に参集した県庁職員がすぐに活動をスタートできるように、事前に指揮命令系統のルールとやるべきことを命令書の形でカードに明記し準備しているもので、少ない人員でなおかつパニックになりがちな状態を克服し、冷静に問題に対処していくために最善のものであると思います。  このアクションカードがすぐれているのは、インシデント・コマンド・システムという現場指揮システムの考え方をベースにつくられているという点です。この考え方により、限られた人員と限られた資源を有効に、そして効率的に運用できます。しかし、この災害時に有効なアクションカードの運用は仕事の範囲を決めて役割分担を行う県庁の日常業務のやり方とは全く異なったシステムであるため、インシデント・コマンド・システムを組織としてきちんと理解することが必要です。  そして、成果を出すためには、各現場において最も適任な能力を持った人材に現場指揮を任せるために資格と権限を与えることを事前に確認しておかなければなりません。もしそうでないなら、平常時の役職や序列にこだわり過ぎて組織の運用が阻害されるということになり、県民に大きな不利益となってしまいます。  そこで、インシデント・コマンド・システムに基づいたアクションカードの導入について県はどのような考え方を持っているのか、またこの考え方は福祉保健所だけで行うのではなく、県庁、市町村役場とも共有して議論を広げていくことも重要と考えるがどうか、危機管理部長にお聞きをいたします。  次に、防災訓練の効果的な実施についてお聞きをいたします。  先日、6月7日に高知新港をメーンステージとして高知県総合防災訓練が開催されました。私は、各組織が年に1回集まって訓練を行うということは意義あることだと思います。一方で、各組織が日ごろの訓練の成果を順番に見せていく発表会だと私は感じるのですが、今後は根本的にバージョンアップさせていくべきだと思います。  例えば、南海トラフ地震対策推進地域本部が中心となって訓練を企画し、市町村の消防署、消防団、日赤、JAFなどの合同訓練を事前にどこで何をやるかということを知らせずに計画できないかと考えます。  私は、訓練の役割について、各機関が一緒に苦労して訓練を行うという訓練を通じた人的交流にこそ大きな意義を感じます。実際に、平成23年4月に香美市で大きな山林火災がありましたが、その際には香美市に各地の消防署、消防団、そして自衛隊の皆さんにも来ていただきました。異なる市町村の各機関が一緒に苦労をともにした経験は市町村を超えての日ごろの交流が少ない各機関にとって事前の備えの大きな財産となっています。  また、この防災訓練は、各機関の日ごろの訓練を多くの県民に見ていただくことで各機関のことを理解していただくという役割も担っています。そういう意味では、県民の皆さんが見やすい場所を見学スペースとして大きく確保すべきだと思います。  現状では、県議会議員を初め関係者席が一番いいスペースに場所をとっていますが、県民への意識啓発を考えた場合、もう少し工夫できるのではと思います。例えば、関係者の見学スペースと椅子スペースを別にして見学時だけ移動するようにすれば、県民の見学スペースを多く確保できるのではと思います。  そこで、今後の総合防災訓練に関して、訓練内容を当日になってから発表するなど、より臨機応変の知恵が試される訓練方法を導入し、そして人と人との交流を深めるような仕組みも加えた形で訓練を行うお考えはないか、危機管理部長にお聞きをいたします。  またあわせて、南海トラフ地震対策課や南海トラフ地震対策推進地域本部などの人事に関しては、県内市町村の防災課への派遣、交流人事を含め、知識と人脈を持つ地域のプロフェッショナル人材としての育成という視点も重要ではないかと考えるところです。  南海トラフ地震対策に向けて知識と人脈を持つ地域のプロフェッショナル人材を育成していく人事制度についてのお考えを総務部長にお聞きいたしまして、私の1問といたします。    (知事尾崎正直君登壇) ◎知事(尾崎正直君) 依光議員の御質問にお答えをいたします。  高知家のスター戦略に対する思いとその成果への期待についてのお尋ねがございました。  本県では産業振興計画に基づき地産外商の取り組みを強力に推し進めており、この地産外商を進める際の基本方針としてみずから持てる強みを生かすということを掲げて、官民協働での取り組みを進めようとしているところであります。  こうした中で、本県の一番の強みを挙げるとすれば、これは人だと考えます。すなわち、人懐こさ、おおらかさなどの温かい県民性であり、そしてこの県民性を背景に一つの大家族のようなつながりがあること、すなわち高知県が高知家であることだと考えております。  本年度は、この本県の最大の強みである人の魅力を前面に押し出した高知家ALL STARSをコンセプトとする新しいプロモーションを展開しているわけでありますが、この高知家ALL STARSの狙いは、まず第1に、スターの皆様にプロモーションに直接参加していただくことで効果的なPRにつなげていくことだと考えております。スターのお一人お一人がそれぞれ自慢の高知の人、物、事にかける熱い思いをみずからPRしていただくことで説得力のあるPRができると思いますし、スターの数が多ければ多いほど多様なPRが可能となり、その効果も高まることが期待できます。  こうしたプロモーション活動によりまして、高知家の認知度を35%まで上げることを目指すとともに、そのことを背景にして高知に関心を持っていただき高知のものを買う、高知に行くといった行動を促し、さらに各分野のセールス戦略と連動させることで地産外商、観光振興、移住促進のそれぞれの成果につなげてまいりたいと考えております。  狙いの2つ目は、県民参加の輪を広げることであります。  県勢浮揚に向けた歩みは、言うまでもなく県民お一人お一人が主役であります。産業振興計画についても同様であり、同計画の取り組みを通じまして地域アクションプランなどの担い手の皆様もこれまで着実にふえてまいりました。  高知家ALL STARSの取り組みを通じて、日々、また地域地域でさまざまな活動に取り組まれている方々がスターとしてこのプロモーションに参加してそれぞれの思いを発信していただくようになることは、まさに高知を元気にするための県民参加の輪が広がっていくということだと思っております。  そういう意味で、既に1,000人を超える方々にスター登録いただいているということは大変心強く、心から感謝申し上げたいと、そのように思います。  そして3つ目は、高知家ALL STARSの取り組みを通じて、改めて高知の人、物、事について、そのよさが発掘、再発見、再認識される契機となればとの思いもあります。このことはお話にありました価値観の転換あるいはGKHの発見につながる一つの契機ともなり得るものと言えるものと思います。  今後とも、高知家ALL STARSの取り組みへの参加者がますますふえるよう努力してまいりたいと、そのように考えております。  私からは以上でございます。    (教育長田村壮児君登壇) ◎教育長(田村壮児君) 高知家のスター戦略に関連して生徒や保護者の希望をどのように進路指導に反映しているのか、また県内の働く場所に関してどのような職業教育を行っているのかとのお尋ねがございました。  高校生の進路決定に当たっては、上級学校で学ぶことの意義や就職後の自分の人生についてしっかりと考えてもらうことが大事です。しかしながら、お話にもありましたように、進路を決めるに当たってはややもすると、有名大学や大企業のブランドにとらわれて進路先について十分理解しないまま進路選択をしているケースが見られます。  このため、生徒に将来しっかりと自立した人生を送る力を身につけさせるために、現在進めているキャリア教育の中で学ぶことの意義や自分の人生について考えさせた上で、進学や就職についての情報収集や大学、企業への訪問学習などを通じて生徒が将来の進路について具体的なイメージを広げられる取り組みを実施し、生徒みずからの適切な進路選択につなげております。  加えまして、保護者に対しましても進学や就職に関する最新の情報をさまざまな機会を捉えて提供し、連携を密にとることで保護者と学校が一体となり、生徒の希望に沿った進路が実現できるよう支援しております。  また、高校生に県内の働く場についての理解を深めてもらう取り組みとしては、県内企業でのインターンシップや農林業の最新の知識や技術に触れる体験学習などの機会を数多く設けているほか、県内の産業界で活躍している人材を招いた職業人講話も行っております。こうした実体験を通して県内産業の業務内容や魅力を深く知ってもらうことで、就職を希望する生徒と就職先とのマッチングを図っております。  また、こうした取り組みが、一旦上級学校に進学した生徒が将来就職を考えたときに県内就職も視野に入れられることにもつながるものと考えております。  あわせまして、教員につきましても、県内産業に対する理解を深め、生徒の適切な進路選択につなげられるよう産業界との交流などを積極的に進めております。  今後もこうした取り組みを一層推進することで、将来の夢や希望を持って県内で就職し、高知家の一員として、またスターとしてしっかりと地域や社会を担っていける人材の育成に努めてまいります。    (商工労働部長原田悟君登壇) ◎商工労働部長(原田悟君) 県外に進学した大学生がどのくらいの割合で高知県にUターン就職しているのかとのお尋ねがございました。  県外に進学しました大学生のUターン就職の状況につきましては、平成23年度から労働局と連携しまして企業等への調査を継続して実施しております。この調査では、平成26年3月に県外大学を卒業して県内企業等にUターン就職した大学生は約300人で、ここ数年と同様に県外大学に進学し就職を迎えた大学生の2割に満たない状況となっています。  大学生のUターン就職を進めていくためには、まず産業振興計画の着実な実行により県内に魅力ある働く場を拡大していくことが重要でありますが、それとあわせまして、県内の魅力ある企業の情報や県内で働くことの魅力を県外大学生に伝えていくことが大切だと考えております。  そのため、県としましては、県内外で開催されます企業説明会やUターンセミナーのほか、新たに進めております県外大学との就職支援協定の締結の取り組みなどを通じまして、そうした情報をより多くの保護者や大学生に知っていただくことで、さらなるUターン就職の促進を図ってまいりたいと考えております。  次に、本県出身者のUターン就職支援に係る県内企業とのマッチングの課題についてお尋ねがありました。  Uターン就職の支援につきましては、移住の仕組みとも連携して取り組みを進めているところですが、県内企業とのマッチングの面においては本県における待遇面とこれまでの県外での待遇面の違いや、Uターン希望者の経験やノウハウを生かせる、より詳細な求人情報の確保などといったことが主な課題として挙げられます。  こうした課題を解消していくためには、議員のお話にもありましたように、求人、求職両サイドの調整ができるコンサルティング機能が重要だと考えています。  そのため、この4月に設置しました事業承継・人材確保センターにその機能を果たす専門の職員を配置しまして、求職者のスキルや経験、人となりなどを聞き出し、また企業からは求める人物像や企業の魅力などを聞き取って丁寧なマッチングに取り組んでおりまして、既に就職に結びついた事例も出ております。  またあわせて、Uターン希望者をいかに確保していくかということも重要なことでありますので、新たに県内産業支援機関や県人会といった関係団体とも連携しまして人材の掘り起こしを行っているところでございます。  今後とも、中核人材のマッチングの中心となります事業承継・人材確保センターの機能を高め、強化していきますことで、一人でも多くの方が本県へ帰ってくることができますよう取り組んでまいります。  最後に、地域経済分析システムの産業マップのデータ活用についてお尋ねがございました。  県では、これまで関係団体との意見交換や企業への戸別訪問などによりまして企業のニーズや課題の掘り起こしを行い、施策に反映してきたところでございますが、この産業マップでは企業ごとにその売上高や従業員数のほか、県内外への販売や仕入れの状況なども見ることができます。  現時点では、このシステムが稼働して日も浅く、まだこの機能を十分に活用できるといった状況ではありませんが、例えば販売や仕入れの状況を見て県外から外貨を稼ぎ県内に好影響を与える企業を抽出したり、県が支援した企業の取引先の売り上げなどの状況からその支援による地域への波及効果なども一定確認していくことができますので、今後の支援策の検討などを行う際の有効なツールになるものと考えています。  今後、このシステムやデータのさまざまな活用方策を検討し、より効果的な施策の展開につながるよう取り組んでまいりたいと考えています。    (文化生活部長岡崎順子君登壇) ◎文化生活部長(岡崎順子君) CCRCに関連して移住者のやりがいと県内の課題解決のマッチングに産学官民連携センターがどういう役割を果たすのかとのお尋ねがございました。  CCRCには健康で活動的な高齢者が多く移住することが想定されており、移住先ではそれまでのキャリアを生かした活躍やみずからの学び、社会貢献など、生きがいややりがいを持って地域社会とかかわることで、できるだけ介護を必要とせず、アクティブな生活を送ろうとするものを目指すものでございます。  産学官民で立ち上げました研究会では、本県にふさわしいCCRCについて議論を進めていますが、お話にありましたように、県内の課題解決に向け、移住者と企業や大学、地域等とのかかわりやマッチングを有効なものとすることが大きなポイントです。  例えば、産学官民連携センターのココプラビジネスチャレンジサポートの仕組みの中で、総合商社で勤務した経験を持つ方が専門知識を生かして輸出を目指している県内企業にアドバイスを行うことやみずから起業すること、さらに土佐まるごとビジネスアカデミーの講師や大学、高校の非常勤講師を務めるといったことが考えられます。また、ビジネス以外でも、小中学校が行う地域との連携事業やボランティア活動への参画なども考えられます。  さまざまな生きがい、やりがいを持っていただくことができる制度設計が本県のCCRCの実現と定着に不可欠ですので、御指摘の点も含めまして、今後の議論をしっかりとしていきたいと考えております。    (産業振興推進部長中澤一眞君登壇) ◎産業振興推進部長(中澤一眞君) 四国3県に人口が流出している現状をどのように分析するのか、また本県の社会増減をプラス・マイナス・ゼロにするという大目標に向かうための小目標として四国3県への流出をプラス・マイナス・ゼロにするという目標についてのお尋ねがございました。  近年、景気が回復局面にある中で、本県は四国の他県に対して平成26年には374人、平成25年には259人と転出超過の状況にありますものの、年平均で600人程度の転出超過が生じておりましたいわゆるバブル期など過去の景気回復局面と比べますと、転出超過は相当程度抑制をされてきております。この転出超過の減少傾向は全国との関係でも同様となっております。  その状況を県別に見てみますと、直近では特に香川県への転出超過が多い状況でございます。中でも、10代から30代がその大半を占める傾向があり、10代は進学を機に、また20代と30代は四国の4県でも特に有効求人倍率が高い香川県に就職や転職を機に転出をしていることが影響していると推測をされますが、なお詳細についてはさらに分析が必要だというふうに考えております。  次に、四国他県との人口動態に関しまして高知県からの転出超過をゼロにする目標を定めてはどうかとの御提案をいただきました。  先ほど申し上げましたとおり、本県は四国の他県に対して転出超過の状況にはありますものの、近年の転出超過が大きい地域は東京圏や大阪圏であり、全体の約6割を占めております。四国の他県もまた同様に、東京圏や大阪圏に対しての転出超過が大きい状況でございます。  このような状況を踏まえますと、四国間で人を取り合う、四国にとってのゼロサムの目標を置くのではなく、まずは四国4県が連携して東京圏や大阪圏から人を呼び込むことが重要ではないかというふうに考えております。  しかしながら、今回議員から御示唆をいただきましたように、地域経済分析システムを活用した詳細なデータ分析をもとに仮説を立てて、施策の方向性やターゲットを決定していくという手法は大変有効だというふうに考えておりますので、今後施策のバージョンアップを検討するに当たり、こうした手法をできるだけ取り入れてまいりたいというふうに考えております。  次に、市町村との人口情報の共有にどれぐらい力を入れているのか、また市町村との人口の詳細分析の結果を移住施策のバージョンアップにどうつなげるのかについてお尋ねがございました。  人口の将来展望を示す地方人口ビジョンを精緻に策定するとともに、その実現のための総合戦略を策定し、PDCAを回していく上でも、人口の転出入の状況を把握して詳細にこれを分析することは大変に重要でございます。  そのため県では、市町村の人口分析に役立てていただけますよう、積極的に市町村との人口情報の共有に努めております。例えば、昨年度末には国から提供された年齢別、地域・住所地別の詳細な転出入データを全市町村と共有をいたしましたし、今年度に入ってからも総合戦略に関する市町村との勉強会におきましてこのデータを県がグラフ化して全市町村に提供をいたしております。  また、市町村からは転出入の状況を過去にさかのぼって把握したいとの要望もいただきましたので、県立図書館や国会図書館に御協力をいただき、過去40年分のデータを全市町村に提供したところでございます。  市町村にはこうした人口情報を総合戦略で取り組む施策の立案やバージョンアップに大いに活用していただきたいと考えております。  また、この人口情報は、移住促進策を検討していく上で有用な基礎的な情報だと考えております。具体的には、人口情報に加えまして、転入者が転勤や進学などではなく移住の意思を持ってきたのか、なぜ移住先が高知だったのかといった動機に関する情報を別途収集して人口情報と組み合わせて分析することで、お話にありましたようにどの年代や地域に対してどのような施策を投入すればよいかといった移住促進の戦略を立てる際の判断材料として活用できるようになります。  そのため、市町村の御協力のもと、転入者の御理解も得て転入窓口でのアンケート調査なども実施しているところでありまして、人口情報とあわせてこうしたデータも十分に分析し、今後の県の移住促進の戦略に役立ててまいりたいと考えております。  また、市町村にもこのデータの分析結果をフィードバックすることで各市町村の移住促進策のバージョンアップにもつなげていただきたいと考えております。    (中山間対策・運輸担当理事金谷正文君登壇) ◎中山間対策・運輸担当理事(金谷正文君) 鳥獣被害対策や買い物、移動手段に関して、県境をまたいだ連携についての話し合いがどの程度進んでいるのかとのお尋ねがありました。  地理的・地形的条件から生活や経済面での交流が県境をまたぐケースは県内各地にございます。お話にもありましたように、例えば徳島県の那賀町木頭地区の方は物部地区の診療所や香北地区の歯科医院を利用され、空港も高知龍馬空港を利用されているとお聞きをするところです。  そのような実態がある中で、県境を挟んで行政機関が相互に連携し、抱える課題やニーズに対応している事例が県内には幾つかございます。被害が深刻な鳥獣対策では、本県と徳島、愛媛の3県で時期を定めて鹿の重点捕獲に取り組んでおりますし、香美市と那賀町の間では鳥獣被害防止に関して協議会を立ち上げて、狩猟者確保の事業や事故防止のための射撃教習会などを実施しております。  また、日常生活を支える動きとしましては、四万十市の西土佐地区と愛媛県松野町の間では、住民要望を受けまして四万十市のデマンドバスが松野町の路線バス乗り場まで運行し、宇和島市内の病院に通えるようになっておりますし、梼原町と愛媛県鬼北町の間では、両町が運行経費を負担する形で本県の高陵交通が鬼北町に乗り入れて、道の駅での買い物や宇和島市内への通院の用に供されているところです。  現在、いの町本川地区と愛媛県西条市の間でも、いの町内に限られている公共交通空白地有償運送の運行区域を西条市まで拡大することの協議がなされています。  中山間地域での生活を守るためには、住民の方々の生活実態に合わせて柔軟に対策を講じていく必要がありますので、県としましても市町村とも連携し、お話のありました県境を越えるケースなどにも今後留意しながら取り組んでまいりたいと考えております。    (土木部長奥谷正君登壇) ◎土木部長(奥谷正君) 永瀬ダムへの土砂の流入量と河床の高さを公表し、今後の施策に生かしていく考えはないかとのお尋ねがありました。  永瀬ダムでは、毎年出水期の後に貯水池の測量を行い、土砂の堆積状況を把握しています。昨年の測量結果によりますと、平成26年の永瀬ダムへの土砂の流入量は年間51万6,000立方メートルとなっており、平成23年から平成25年にかけての年平均流入量57万立方メートルに比べ1割程度減っております。  この測量結果については、今後県のホームページ等で公表することを検討してまいります。  また、議員御指摘のとおり、河床の高さの公表については、ダム上流の堆積状況を住民の皆様と共有することにより、ダム管理に関する住民の皆様の意識の向上や流入する土砂の抑制につながる森林管理に役立つものと考えています。  さらに、これは濁水対策とも関係することから、学識経験者や流域の関係者で構成される物部川濁水対策検討会の中で、河床の高さを求めるための観測地点をどこに置くか、またその数や計測の頻度などについて助言をいただきながら検討してまいります。  次に、永瀬ダムの堆積土砂の処理に関する対応と処理を行う場所の調査を実施する考えはないかとのお尋ねがありました。  ダムに堆積した土砂を取り除いた後、その土砂をどのように処理するのかは重要な課題であると認識しています。  永瀬ダムでは、これまで貯水池の上流域に設置した貯砂ダムや河川に堆積した土砂を掘削し、その掘削した土砂は有用残土として売却するなどの処理を行ってきました。  しかし、現状の処理方法では、今後も堆積する土砂はふえていくと考えておりますので、昨年度から処理場の選定に関する調査を行っており、御提案いただきました箇所及び処理の考え方も含めて検討してまいります。    (危機管理部長野々村毅君登壇) ◎危機管理部長(野々村毅君) 南海トラフ地震対策につきまして、まずインシデント・コマンド・システムに基づいたアクションカードの導入についてお尋ねがございました。  インシデント・コマンド・システムは、米国で開発された災害の現場において対応に当たる組織の体制とそれを構成する部門ごとの任務を標準化したシステムであると認識しております。  このシステムを参考に、中央東福祉保健所では災害医療対策支部の組織編成を見直すとともに、それぞれの業務内容の整理とマニュアル化を行っております。  お話のありましたアクションカードはこのマニュアルをカード化したものであります。このカードは災害対応にふなれな職員でも初動の対応ができるように各業務をチェックリスト化したものでありまして、今後、福祉保健所で訓練を実施し検証していくこととしております。  一方、災害対応に当たる組織は、福祉保健所のように主に現場の対応が求められる部署と災害対策本部のように全体をコントロールする臨機応変な対応が求められる部署がありますので、必ずしも全ての部署でアクションカードが生かせるものでもないと思っております。  今後、アクションカードの活用につきましては、福祉保健所での検証を踏まえ、健康政策部とも連携し検討を行ってまいります。  次に、より臨機応変さが試される訓練方法の導入や人と人との交流を深めるような仕組みを加えた訓練を行う考えはないかとのお尋ねがございました。  防災訓練はその目的に応じて図上や実動といった手法を用いておりまして、お話のありました総合防災訓練は実動訓練であります。また、例えば秋に予定しております災害対策本部訓練は図上訓練となります。  この総合防災訓練は、災害発生時の現場における対応の習熟や関係機関相互の連携を主な目的として実施しており、災害発生時の対応として実際に行う活動の訓練であることから、特に安全の確保が重要でありますので、あらかじめ定められた内容や手順で実施することとしております。  一方、災害対策本部訓練は、個人や組織の情報収集・処理、意思決定の能力などの向上を目的に実施しております。この訓練は実動を伴わないことから、当日に初めて被災状況、救助や支援の要請などの条件が与えられ、それらに対して臨機応変な対応や関係機関との調整を行うシナリオのない、いわゆるブラインド形式としています。  実動であれ図上であれ、訓練の実施に当たっては関係機関との訓練内容について入念な打ち合わせを行っておりますので、このことにより顔の見える関係が築かれ、連携も深まっております。例えば今回の総合防災訓練では、訓練内容や実施手順の調整のために全体会や分科会を2月から4カ月間にわたって合わせて16回開催したところでございます。  また、県民の皆様に防災への関心を持っていただくために、少しでも多くの方に総合防災訓練を見ていただきたいと思っております。さらには、同時に開催する防災フェスティバルを通じて防災意識を高め、自助・共助の取り組みにつなげていただきたいとも考えております。  そうした中、今回は従来を上回る3,500人もの県民の皆様に来場していただくことができました。しかし、想定以上の数だったこともありまして、お話にありましたように、見学スペースが足りなかったことや訓練自体が見えにくかったということもありましたので、来年度はそうした点につきましては改善に努めたいと考えております。  今後とも、できる限り実際の状況に即したさまざまな訓練を行うことで、県や市町村、関係機関、さらには県民の皆様の防災力の向上を図ってまいります。    (総務部長梶元伸君登壇) ◎総務部長(梶元伸君) 南海トラフ地震対策を推進するための地域の専門的な職員を育成する人事制度につきましてお尋ねがございました。  南海トラフ地震対策を担う職員には幅広い知識や国、市町村、事業者等との連携が求められると考えております。  お話にありました県と市町村との職員交流では、相互の人材育成や連携協調を促進するとともに、市町村が抱える地域防災などの重要課題への対応や市町村と一緒に汗をかく県政を推進するため、積極的に職員を派遣しております。そうした中で、職員が地域の実情を知り、人脈を広げながら、地域住民の視点に立った取り組みを学ぶ機会にもなっているところです。  また、毎年、内閣府や復興庁、東北3県に意欲ある職員を派遣し、防災・減災対策や復旧・復興の取り組みなどを学ぶことで南海トラフ地震対策についてのノウハウを有する人材の育成にも努めております。  一方、地域のプロフェッショナル人材として職員を一定の地域内に配置して育成するということにつきましては、地域の事情に精通し、地域の人脈を有することで災害時に即応できる人材を育成するというメリットはございます。一方、職員にとりましては将来の可能性を狭めることとなるおそれがあるのではないか、あるいは組織全体としても適材適所の人材配置が難しくなるおそれがあるのではないかといった課題もあると考えております。  いずれにいたしましても、今後とも人事交流や研修派遣制度などの活用によりまして、高い専門性や地域との多様な人脈を持って、南海トラフ地震対策の推進に取り組むことのできる人材の育成に意を用いてまいりたいと考えております。 ◆14番(依光晃一郎君) それぞれ御丁寧な御答弁ありがとうございました。2問目をさせていただきます。知事にお願いしたいと思います。  今議会では、知事からは担い手不足というようなことですね、担い手不足の壁という話を聞かせてもらいました。私も、いろいろなところで移住であるとか就職相談の現場も見させてもらっておるんですが、なかなかマッチングの課題、待遇の課題ということで、商工労働部長からもありましたけれども、やっぱりコーディネート人材も含めて重要ではないかと思います。  そんなとき、高知県企業も同じような状況なんですけれども、県外に内定、高知県内に内定ということで、うちに来てほしいということで企業経営者みずからが一生懸命学生に語りかける、そういう場面も見させてもらいました。そういう意味では、今回のスター戦略も含めて、知事には本当に熱のこもった、高知へ帰ってきませんかというようなことをもっともっとしていただきたいと思います。  そこで、知事も土佐山アカデミー主催の知事コンというのがあったりとか、そこで高知に来るかどうか迷っているような方々ともお会いすると思うんですが、そのときにどういうふうなメッセージを発されているのか、また殺し文句とか、そういうのがあればぜひお聞きしたいと思います。2問目です。 ◎知事(尾崎正直君) 特に県外の移住者の皆様にしても、そして県内の皆さんに帰ってきてもらいたいということについても、私が非常に大事にしているキーワードというのは志だというふうに思っております。  私、よく若い県外の大学に進学した学生さんなんかと話をしていますときに、「高知には仕事がない」、これ、仕事がないという意味ではなくて、私たちが夢や志をかなえるにふさわしい職場がないという趣旨のことを多分学生たちは言っているんだろうと思いますが、そういう話をよく聞きます。今はそうかもしれないが、そういう志とか夢を果たす職場というのは人に与えられるものではないんだと、自分でつくるんだということを、私は学生さんたちに申し上げることがあります。  年齢に応じてその話し方は変えていますし、そして年齢に応じてそのそれぞれへの対応の仕方というものも変えていかなければならないと思いますが、ある意味、それぞれの企業さんの規模もそんなに大きくはない、だからそれぞれの意志というのを生かすことができる。さらには、1次産業を含めてそれぞれが、ある意味自分の志をかなえる、自分自身がリーダーとなっていろいろ果たすことのできる仕事がある。それが高知のよさではないかと、そういうことでありまして、ぜひ志をかなえに帰ってきてもらいたいという話を、そして自分の志を高知で発見してもらいたいということを訴えているところです。  そういう中で、移住促進策なんかにつきましても、高知の場合は単に自然がよくて食べ物がおいしいですという言い方をするというより、むしろ志移住ということを非常に重視をして、いわゆる担い手育成策とリンクさせる形で移住促進策を進めたりしておりますが、こういうことなんかもその一つのあらわれだということであります。 ◆14番(依光晃一郎君) ありがとうございます。志移住と言っていただきましたけれども、私も同感でありまして、ファイティングドッグスに藤川球児投手が帰ってこられましたけれど、やっぱりやりがいを求めて仕事をするために高知に帰ってくるということはあると思いますし、同級生にもそんなことも伝えながら、自分自身も努力したいと思います。  以上で私の一切の質問とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○議長(三石文隆君) 以上をもって、議案に対する質疑並びに一般質問を終結いたします。